本書は、Gmail や Google ドキュメントといった Web アプリケーションと紙を併用した情報整理術が紹介している。
「グーグル時代」とあって、本書で紹介されるサービスの大半は Google のもの。Gmail にメールだけでなく、メモや資料をため込んで、どこからでも参照可能なデータベースとして扱うのは「「超」超整理術」と同じ。複数人で作業するときは Google ドキュメントや Google カレンダーを使って情報を共有するのも、多くの書籍で語られている。
この手の本だと、最近は何でも「デジタル化してクラウドに」という内容だけど、本書はちょっと違う。一部の情報では紙の利用を勧めている。例えば領収証。領収証は税務署に提出する必要があるが、デジタルのみで保管していたら印刷の手間が発生する。それに対し、紙のまま保管しておけば、そのまま提出できる。コピーを取る分にはデジタルでもいい。ようは適材適所。デジタル化した結果、余計な手間が増えたら意味がない、というのが著者の主張だ。
著者は、本書で自身の情報整理ルールを紹介している。どんなルールかは実際に本を読んでもらうとして、私が一番印象に残ったのは「知識は力ならず。知識の共有こそ力なり。」というルール。
とある知識を持つのが自分だけだったら、それに関する仕事はすべて自分にまわってくる可能性が高い。好きな仕事ならそれでもいいが、面倒な仕事ならできるだけやりたくないもの。知識を他の人と共有しておけば、自分がやる場面も少なくなる(そう上手くいかないかもしれないが……)。
整理とはストレスを少なくすること。本書を読んで、そんな事を考えた。たとえ散らかっていても、欲しい情報がすぐに取り出せたら、それは散らかっていない状態で情報を取り出したときと、大して変わらないのだから。
- 作者: ダグラス・C.メリル,ジェイムズ・A.マーティン,Douglas C. Merrill,James A. Martin,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/12
- メディア: 単行本
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