彼方のアストラ(1)〜(5)

Rebuild.fm でオススメされていて、「マンガ大賞 2019」で大賞を獲得した「彼方のアストラ」をようやく読むことができた。

惑星キャンプで惑星マクバを訪れた ケアード高校の 9 人が、 謎の光の球体に飲み込まれて 5012 光年離れた宇宙に飛ばされてしまう。 飛ばされた先で偶然にも宇宙船を拾い、 力を合わせて帰還するという物語。

宇宙で遭難したという状況からして、 メンバー間の衝突は不可避というギスギスしがちな題材なのに、 スペースコメディかと思うような明るい雰囲気を作り上げている。

それは 9 人の魅力によるところが大きい。 リーダーのカナタは行動力と決断力もさることながら、 特に明るさが他のメンバーに好影響を与えていた。 明るさといったらアリエスの天然なところもか。 というか、みんな良いキャラクター。 最初は人間的に未熟な部分を抱えているけど、 様々な試練を乗り越えて成長していく。 9 人みんなキャラが立っていて魅力的だった。

5012 光年飛ばされた光の玉の謎に始まり、刺客の発覚、9 人の命が狙われた理由、世界の秘密と、次々と伏線が張られていき、伏線を回収したと思ったら さらに大きな伏線が張られる怒涛の展開。

それらの伏線を全て回収し、作中の謎も全て明らかにし、広げた風呂敷を見事に畳んだ。 5 巻という冊数に凝縮されていて、余計なところが見当たらない。

「いつからそうだと錯覚していた?」と思う場面が何度もあり、正直「作者にしてやられた!」という思いだ。 時折ちゃんとシリアスもあり、 手に汗握る熱い展開もありと、 あっという間に読み終えてしまった。 ホントに無駄が無くて見事な構成。 名作だと思う。