寄宿学校のジュリエット(1)〜(16)

積んでいた『寄宿学校のジュリエット』を全巻読み終えた。タイトルにジュリエットが含まれていて、かつ主人公がロミオでヒロインがジュリエットという点から分かるように、ロミオとジュリエットから着想を得たであろうラブコメ。この手のラブコメの舞台は現実世界の日本ぽい街が多いけど、このマンガの舞台は空想の世界の学園都市。魔法とかは無いけど。日本がヨーロッパにあったら、こんな世界感になったかもね。

ロミオとジュリエットが元になっているだけあって、2人は1話で速攻恋人関係になるわけだけど、それからがスタート。恋人関係を隠しながら学園生活を過ごし、途中親友の蓮季にバレたり、ロミオの実の兄に怪しまれたりといった窮地を2人で乗り越えていく。お互いがお互いに良い影響を与え合い、高め合っている感じが良いね。ラブコメのヒロインであるジュリエットが可愛いのは当然として、誇り高い、格好良さも併せ持っているのが、ちょっと新鮮だった。

お互いの所属する寮が敵対関係にあるため交際を隠しているけど、公にできるように学園を、ひいては世界を変えようと奮闘していく。予想通り最後まで隠し通せるなんてことは当然無くて、皆にバレて本作最大のピンチに陥るわけだけど。その絶対絶滅っぷりといったらもう。ただ、2人がそれまでに行ってきたことが実を結んで、土俵際からじわじわ盛り返し、最後には大多数を味方につけた終盤の展開は震えた。

その絶対絶滅のピンチにおいて一番重要な役割を果たしたのは、ロミオのライバル的立ち位置の丸だな。初登場時の第一印象は最悪だったのに、登場を重ねるうちに、意外と仲間思いの良いやつなのかもと思えるように。ジュリエットと一風変わった友情築いちゃったりもして。まぁあれだ。不良が良いことをしたら評価が変わるのに近いかも。

とにかく、ジュリエットがカッコ可愛いマンガだった。ロミオとジュリエットは悲劇だけど、ラブコミで悲劇なんて許されるはずもなく、予想通り、2人ゴールインしてめでたしめでたしハッピーエンド。周りのキャラも魅力的なのが多くて、ロミオの影は薄かったかも。まぁ、ラブコミの主人公の存在感なんてそんなもの。絵が可愛かっただけに、作者の次回作にも期待したい。